列島縦断AMR対策 事例紹介シリーズ ~地域での取り組みを日本中に“拡散”しよう!~

お母さんたちに向けた子どもたちのための“つなひろ”の啓発活動

第2回AMR対策普及啓発活動「薬剤耐性へらそう!」応援大使賞
2019年3月

 薬剤耐性(AMR)対策の優良事例として内閣官房の「AMR対策普及啓発活動表彰」を受賞した活動をご紹介します。第6回は「薬剤耐性へらそう!」応援大使賞を受賞した、「つながる ひろがる 子どもの救急」の活動を取り上げます。子どもの医療についての情報を保護者に提供する中で、積極的に薬剤耐性の啓発に取り組んでいます。活動を立ち上げ、中心となって取り組んできた代表の小児救急看護認定看護師 野村さちいさんに活動への思いやその具体的な内容についてお話を伺いました。

「第2回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰」における優良事例の表彰決定及び表彰式の実施について
野村さちい氏
野村 さちい氏
「つながる ひろがる 子どもの救急」 代表
竜美ヶ丘小児科 小児救急看護認定看護師

子どもの医療を、みんなで考える学びの場

患者さんの啓発はクリニックの看護師の役割

「つながる ひろがる 子どもの救急(以下つなひろ)」はユニークなお名前ですが、簡単にいうとどのような会なのでしょうか。

野村氏 人とつながって、それがひろがって、みんなで一緒に「子どもにとって最善の医療とは」を考え、学ぶ場を作りたいという思いで始めた活動です。月に1~2回、主に市内の子育て支援センターで、子連れのお母さんやお父さんたちにその時期にお伝えしたい、例えば冬の感染症や保育園入園前に知っておいてほしいことなどについて、講座を開いてお話をしています。毎回、お母さんたち10~20人がお子さんとともに参加してくれて、笑い声や泣き声でにぎやかな中、どんどん質問や意見を交わしながら開催しています。子どもの病気やけがのとき、親はとても不安になりますよね。だから、子どもが元気で余裕のあるときに、リラックスした雰囲気で必要な医療情報をお伝えしたいと考えています。現代は情報を得る手段はたくさんありますが、実際にお会いしてお伝えすることが重要だと思います。また、私たちも参加者の方からいろいろな考え方やアイデアを教えてもらっています。

マークつなひろ

ご自身も二人のお子さんをお持ちの野村さんが、2013年からはじめられたお母さんやお父さんのための啓発活動「つなひろ」。ロゴマークにも、野村さんの子どもや親を応援する想いがこめられている。

つながる ひろがる 子どもの救急 ▶

つなひろの活動を始められたきっかけは何でしたか?

野村氏 私は総合病院の小児病棟で看護師としての仕事をスタートしました。数年経つと、仕事も覚えてまかされることも多くなり、精一杯子どもの看護にあたり、お母さんたちにも病気のことを説明したり、質問に答えたりととても充実した日々でした。そして、結婚、出産して、私もお母さんになりました。自分が母親になって、自分より大切な存在を胸に抱いてみると、今まで病棟で接してきたお母さんたちの心配や不安がよく分かりました。「今まで仕事をちゃんとやっているつもりだったけれど、本当はお母さんたちのこと分かってなかったな」と思ったのです。そして、看護師として地域のお母さんたちの力になりたくて、小児科クリニックに再就職しました。

 張り切って働き始めましたが、そこで小児科クリニックの看護と小児病棟の看護の違いに驚いたのです。病棟では子どもたちが治っていく過程を実感でき、それがやりがいにもつながっていたのですけど、クリニックでは子どもたちやご家族と、受診のわずかな時間の一時的な関わりしか持てず、私ができることも少なかった。それを変えたい、でもどうしていいのか分からないというところから、小児看護を追求してみようと、小児救急看護の認定資格を取得するため、単身赴任で東京に赴きました。講義を受ける中で、実はクリニックの看護には、家庭の看護力を高めるというとても大きな役割があり、看護を通して、患者さんたちを啓発していくことが求められていることを知りました。そして、再びクリニックで働いて自分の役割を果たそうと決心しました。

竜美ヶ丘小児科クリニック
竜美ヶ丘小児科クリニック

野村さんがお勤めの竜美ヶ丘小児科。
木のぬくもりが感じられるあたたかみのある院内で、子どもの病気ミニ講座が始まった。

クリニックで、実際にお母さんたちへの啓発をスタートされてみて、いかがでしたか?

野村氏 院長の鈴木研史先生に共感していただけたので、医師と看護師が半分ずつ講師を務めながら、お母さんたちを対象としたミニ講座を始めました。この頃はまだ、「つなひろ」という名前はついていませんでした。ミニ講座を通して、お母さんたちから、38度の発熱で夜間救急に駆け込んだ話や、「風邪のときは早く受診して抗菌薬を飲ませるべきですよね」と私たちが「えっ」と驚くような話を聞きました。結局、私たち医療者がお母さんたちに必要な情報を伝えていないから、お母さんたちが過度に心配してしまうのではないかということが、分かってきたのです。すぐに受診するべき状態や、風邪を治療する薬がないこと、抗菌薬の効果などをきちんと伝えられていないのではないかと。また、お母さんたちはとても子どもの医療について熱心で、こんなにも知りたかったのだということがよく理解できました。

 2016年に岡崎市の市制100周年記念事業「新世紀岡崎チャレンジ100」という、市民の企画・実施するプロジェクトに対して市が支援を行う企画の募集があり、それに「つながる ひろがる 子どもの救急」と会の名前をつけて応募したのが「つなひろ」の始まりです。おかげさまで採択され、活動を多くの人に知ってもらうことができました。

つなひろでは、どのような講座を開いていらっしゃいますか?

野村氏 子どもの病気は季節に応じて変化します。ですから遠い先の話ではなくて、今日必要な話をするように、お母さんたちが「きちんと知っておくべきだった・・・」ではなく、「知っておいて良かった」になるようにと心がけています。具体的には、「冬のお騒がせ感染症~インフルエンザや胃腸風邪に子どもが負けないために」「子どもの事故と予防&春・夏の子どもの病気と過ごし方」「保育園入園前に知っておきたい子どもの病気とお家でのケア」など、時期に合わせたテーマで実施しています。ただし、「事故予防」「予防接種」「薬剤耐性」については、お母さんたちに必ず知っておいてほしいので、毎回講座の中で取り上げています。

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