アクションプラン
近年、抗菌薬が効かないAMR(薬剤耐性)をもつ細菌が世界中で増えています。これは、病院をはじめとした医療機関内でも、また医療機関の外の市中でも問題となっています。また、動物のもっている薬剤耐性菌が畜産物や農産物を介して人に広がったり、環境が汚染される場合もあることが分かってきました。
抗菌薬が効かない薬剤耐性菌が増えると、これまでは適切に治療をすればよかった感染症の治療が難しくなってしまいます。重症化しやすくなり、死に至る可能性が高まります。
加えて新しい抗菌薬の開発は進んでおらず、薬剤耐性菌による感染症の治療はますます難しくなってきています。
このような状況を踏まえて、WHO(世界保健機関)では、2015年5月に「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」が採択され、加盟国は2年以内に自国のアクション・プランを策定するよう要請されました。
また、同年6月のエルマウ・サミットでは、地球上の人や動物、環境を一体としてとらえてその保健衛生に取り組むことが必要であるというワンヘルス・アプローチをすすめること、新薬などの研究開発に取り組むことを確認しています。
日本では、2016年4月に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン 2016-2020」が取りまとめられました。 このアクションプランでは、薬剤耐性の発生を遅らせ、拡大を防ぐために、2016年からの5年間で取り組んでいくこととして、以下の6つの項目が挙げられています。
これらの項目は、どのくらい取り組みをすすめられたか、毎年評価が行われることになっています。AMR臨床リファレンスセンターはこのアクションプランに基づくさまざまな取り組みを行うために国立国際医療研究センター病院内に設置されました。