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薬剤耐性はどのようなときに起こるのか

不適切な処方・不適切な服用

2017年9月

不適切な処方・不適切な服用

 私たちの日常ではどのような場面で薬剤耐性が起こるのでしょうか。

 抗菌薬は細菌による感染症の治療に使う薬です。普通の風邪など、ウイルスによる感染症には、抗菌薬は効果がありません

 細菌感染症と判断して投与された抗菌薬は、病気の原因となっている細菌だけでなく、さまざまな細菌に効きます。例えば抗菌薬を使うと、ヒトの腸にいる非常に多くの種類と数の細菌のうち抗菌薬が効く菌だけが死んでしまい、効かない菌(薬剤耐性菌)が生き残ります。生き残った薬剤耐性菌が増えてなんらかの感染症をおこせば、抗菌薬が効かない菌ですから、治療に困ることになるかもしれません。 どんなに注意しても抗菌薬を使うと耐性菌が生じる可能性がありますので、抗菌薬を使う機会を本当に必要なときだけに絞り込み、必要のないときは使わないことが薬剤耐性菌対策にはとても大切です

その薬、本当に必要?~風邪に抗菌薬は効きません~

その薬、本当に必要?~風邪に抗菌薬は効きません~

 風邪を引いたときに、病院に行ってお医者さんから抗菌薬をもらった経験はないでしょうか?また、抗菌薬の処方をお医者さんにお願いしたことがある人もいるかもしれません。しかし、風邪の原因のほとんどはウイルスです。抗菌薬はウイルスではなく細菌に効く薬でした。ウイルスをやっつける力のない抗菌薬を服用することは効果がありません。それだけでなく、耐性菌の出現や副作用の観点からも、必要がないのに抗菌薬を服用することは推奨されません。

風邪に抗菌薬を処方してもらっても効果はありません。
抗菌薬の処方を希望するのはやめましょう。
またお医者さんの説明をききましょう。

薬は正しく飲みましょう

薬は正しく飲みましょう

「症状軽くなったし、薬の量減らしちゃっていいよね?」

 自己判断で薬の量を減らしては駄目です!

 勝手に薬の量を減らしてしまうと、血液中の抗菌薬の濃度が低すぎる状態になってしまいます。薬の濃度が低いので細菌が完全に死滅せず、病原菌が抗菌薬に徐々に慣れてしまいます。

 生かさず殺さずの状態を続けることによって、細菌が耐性を獲得しやすい環境を整えてしまいます。

 また、薬の特徴によって1日に飲む回数は異なることがあります。用法用量を確認して正しく内服しましょう。なお、妊娠している方、授乳中の方は、医師や薬剤師にその旨を伝えましょう。抗菌薬の種類や妊娠の時期により、赤ちゃんに影響するものと影響しないものがあります。自分で判断せずに必ず相談してください。

「なぜ症状がよくなったのに、薬を飲まなくちゃいけないの?」

 症状が良くなると、抗菌薬の服用をやめてしまう方がいます。

 しかし、症状が良くなったとしても体内に細菌が残っていることがあり、治療が終わらないうちに抗菌薬の投与をやめてしまうと、きちんと治らずに感染症をぶり返してしまう恐れが高まります。したがって、完全に体内から原因となった細菌がいなくなるまで、きちんと服用する必要があります。

 症状の有無に関わらず、お医者さんから指示された抗菌薬はきちんと飲み切りましょう

 抗菌薬を残しておいていつか使おうと考えるのは一見合理的に感じるかもしれません。しかし、その抗菌薬が次も効くとは限りません。思わぬ副作用が出る危険がありますし、保管状況による変化も心配です。抗菌薬を取っておかないようにしましょう。

耐性菌を出現させないために、「耐性菌が発生しやすい環境」をつくらないようにしましょう。

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