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アクションプラン

2017年9月
アクションプラン

「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」の背景

 近年、抗菌薬が効かないAMR(薬剤耐性)をもつ細菌が世界中で増えています。2013年AMRに起因する死亡者数は低く見積もって70万人とされていますが、何も対策を講じない場合、2050年には世界で1000万人の死亡が想定され、がんによる死亡者数を超える、とした報告があります(図1)。

 薬剤耐性(AMR)が拡大した原因の1つとして、抗微生物薬の不適切な使用が挙げられます。日本の2013年のヒトに対する抗菌薬使用量は、人口千人当たり1日約15.8 DDDとなっており、ヨーロッパの先進諸国の中ではドイツについて低い水準となっていますが、経口のセファロスポリン系薬、フルオロキノロン系薬、マクロライド系薬の比率が高くなっています。(図2)。また、黄色ブドウ球菌に占めるメチシリン耐性率や肺炎球菌におけるペニシリン耐性率は、諸外国と比較して高くなっているという現状があります(図3)。

図2 欧州および日本における抗菌薬使用量の国際比較

欧州および日本における抗菌薬使用量の国際比較

薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016-2020)より引用

図3 ヒトにおける代表的な薬剤耐性傾向を示す微生物の薬剤耐性率の国際比較

ヒトにおける代表的な薬剤耐性傾向を示す微生物の薬剤耐性率の国際比較

薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016-2020)より引用

 また、動物がもっている薬剤耐性菌が、畜産物や農産物を介してヒトに感染したり、環境が汚染されたりする場合もあることが分かってきました。

 抗菌薬が効かない薬剤耐性菌が増えると、これまでは適切に治療をすれば回復できた感染症が、抗菌薬が効かなくなるため治療が難しくなって重症化しやすくなり、死亡にいたる可能性が高まります。

 加えて新しく開発される抗菌薬の数は著しく減少しており(「抗菌薬の研究開発」のページ参照)、薬剤耐性菌による感染症の治療はますます難しくなってきています。

国際社会の動向

 このような状況を踏まえて、国際社会では以下のような、AMRに関しての取り組みが進められてきました。

2015年5月 WHO(世界保健機関)
  • 「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」が採択。
  • 加盟国は2年以内に自国の行動計画を策定し、行動することを要請。
2015年6月 G7エルマウ・サミット
  • G7諸国が協調してAMR対策に取り組む。
  • 地球上のヒトや動物、環境を一体としてとらえてその保健衛生に取り組むことが必要であるというワンヘルス・アプローチをすすめること、新薬などの研究開発に取り組むことを確認。
2015年10月 G7ベルリン保健大臣会合
  • AMR対策の3本柱が掲げられた。
    1. 感染予防・感染制御
    2. 抗微生物剤の有効性の維持
    3. 研究開発の促進
2016年5月 G7伊勢志摩サミット
  • G7諸国が更に協調してAMR対策に取り組む方針。

日本の「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン 2016-2020」
(2016年4月)の策定

 日本の薬剤耐性(AMR)対策アクションプランでは、薬剤耐性の発生を遅らせ、拡大を防ぐために、2016年からの5年間で取り組んでいくこととして、WHOのAMRグローバルアクションプラン(2015)の5つの項目に、国際協力を加えた6つの項目が挙げられています。

普及啓発・教育:薬剤耐性に関する知識や理解を深め、専門職等への教育・研修を推進

動向調査・監視:薬剤耐性及ひ゛抗微生物剤の使用量を継続的に監視し、薬剤耐性の変化や拡大の予兆を適確に把握

感染予防・管理:適切な感染予防・管理の実践により、薬剤耐性微生物の拡大を阻止

抗微生物剤の適正使用:医療、畜水産等の分野における抗微生物剤の適正な使用を推進

研究開発・創薬:薬剤耐性の研究や、薬剤耐性微生物に対する予防・診断・治療手段を確保するための研究開発を推進

国際協力:国際的視野て゛多分野と協働し、薬剤耐性対策を推進

 成果指標として、医療における抗菌薬の使用量を減らすこと、主な微生物の薬剤耐性率を下げることに関する数値目標が設定されています。これらの項目は、毎年進捗状況の評価が行われることになっています。しかし、これらの目標はあくまで、本アクションプランに基づき効果的な対策を推進するための指標であり、薬剤耐性の発生をできる限り抑えるとともに、薬剤耐性微生物による感染症のまん延を防止し、薬剤耐性に起因する感染症による疾病負荷のない世界を実現することが目標なのです。

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